全身の毛が抜ける汎発性脱毛症
女性の抜け毛の中でもかなり特殊な症状である、汎発性脱毛症という脱毛症をご存知でしょうか。
聞きなれない名前かもしれませんが、脱毛症の中でも重症化したものでなんと全身の毛が抜けてしまう脱毛症なのです。
頭髪が薄くなってしまうことも女性にとっては見た目に影響するため辛いものですが、それに加え全身の毛が抜けてしまうのが汎発性脱毛症です。
自分には関係ないと思う女性もいるでしょう。
でも、汎発性脱毛症は誰にでも起こり得る脱毛症で、最初はただの薄毛だと思っていても重症化して全身が脱毛してしまうこともあるのです。
汎発性脱毛症は円形脱毛症の一種
全身の脱毛症である汎発性脱毛症は一つの病状であると捉えられがちですが、実は円形脱毛症の一種なのです。
円形脱毛症というと小さい円形の脱毛ができる脱毛症だと思っている女性もいると思いますが、それは基本的なものであって大きく広がるものや汎発性脱毛症のように全身に及ぶものまであります。
最初は普通に頭にできる円形脱毛症であっても、繰り返すうちに悪化して汎発性脱毛症に発展していき全身脱毛してしまうということもあります。
汎発性脱毛症は,円形脱毛症の中では最重症型であり治療に苦慮することがしばしばである
出典:ci.nii.ac.jp
全身の毛が抜ける汎発性脱毛症の原因
汎発性脱毛症は円形脱毛症の一種であると前述しました。
ですから、汎発性脱毛症の主な原因は円形脱毛症と同じであると言えます。
原因には色々な説があり、一つのみではなく複数の説が唱えられています。
①自己免疫疾患が有力な説
汎発性脱毛症の主な原因として有力な説は、自己免疫疾患によるものです。
自己免疫疾患というのは、免疫機能に異常をきたし本来身体を守るべき免疫機能が自分自身を攻撃してしまう病状です。
自己免疫疾患では免疫機能が毛根を攻撃することもあり、免疫反応が毛根に働くと脱毛を引き起こしてしまうのです。
ただ単に脱毛しているわけではなく、そもそもの原因が自己免疫疾患であれば円形脱毛症を何度も繰り返し次第に汎発性脱毛症へ展開していくと考えられます。
②遺伝的要因も考えられる
遺伝的要因も汎発性脱毛症を引き起こす原因になり得ます。
円形脱毛症には幾つかの説が唱えられていますが、遺伝的なものは比較的大きな要因であると捉えられています。
親が円形脱毛症である場合には、子供にも円形脱毛症が発症する可能性は十倍になるというデータもあるぐらい遺伝的要素の強い病状なんです。
ですから、両親に円形脱毛症がある女性は注意が必要です。
汎発性脱毛症は男女関係なく発症する
汎発性脱毛症は全身の脱毛症ですから、女性は発症しないだろうと思うかもしれませんが汎発性脱毛症は男性でも女性でも関係なく発症します。
汎発性脱毛症の主な原因は自己免疫疾患や遺伝的要因であり、発症する原因を見ても性別は関係していないため女性でも発症する可能性は多いにあります。
また症例を見ても、男女で偏りはなく女性でも汎発性脱毛症になっている患者さんがいるのも事実です。
アトピー性皮膚炎の女性は発症しやすい
汎発性脱毛症が起こりやすい女性の特徴として、アトピー性皮膚炎の女性が挙げられます。
実はアトピー性皮膚炎は円形脱毛症と関係があると言われていて、円形脱毛症を発症する人の40%はアトピー性皮膚炎であると言われています。
アトピー性皮膚炎も自己免疫疾患と関わりがあるため、一見関係がなさそうに思えるアトピー性皮膚炎と全身を脱毛させる汎発性脱毛症は発症する原因の部分でつながりがあるのです。
アトピー性皮膚炎の女性は、脱毛が現れた場合は要注意だと言えます。
汎発性脱毛症は病院での治療を行わないと完治は困難
汎発性脱毛症は小さい円形脱毛症と違い、自然治癒することはありません。
また、根本的な原因である自己免疫疾患は育毛剤や育毛サプリメントなどの個人で行なえる対策だけでは完治が難しい脱毛症です。
さらに最初は普通の円形脱毛症であっても、汎発性脱毛症へ重症化するとさらに完治が難しくなり治療にも長い期間を要することになります。
女性が汎発性脱毛症になったら、全身に脱毛が及ぶ前に早期的に病院で治療を開始する必要があります。
汎発性脱毛症の主な治療法
全身に脱毛が及ぶ汎発性脱毛症は、病院での治療が必須の脱毛症です。
では、女性が汎発性脱毛症になったら病院ではどのような治療が行われるのでしょうか。
①ステロイド治療
汎発性脱毛症の主な治療法は、円形脱毛症と同じです。
内服薬や外用薬をはじめ、点滴などによるステロイド治療が基本的な治療法になります。
ステロイド剤には炎症を抑える効果があり、抗炎症作用の効果が高い薬剤です。
アトピー性皮膚炎はもちろん自己免疫疾患には、ステロイド剤が使用されるのが基本です。
症状が軽い女性であれば内服だけで治療することもありますが、急を要する治療や症状がひどい場合には並行して様々なステロイド剤が使用されることがあります。
②局所免疫療法
局所免疫療法という治療法が汎発性脱毛症にあります。
局所免疫療法というのは、かぶれを起こす化学薬品を脱毛している部位に塗布する治療法で毛根の細胞への免疫反応を抑える効果があります。
内服薬や外用薬のステロイド剤には副作用が起こる可能性がありますが、局所免疫療法にはかぶれなどによる皮膚炎の悪化など以外にはほとんどありません。
ただし、全身に脱毛が広がっている場合など時間をかけて治療をする必要があります。
円形脱毛症の女性は脱毛が全身に及ぶ前に医療機関へ
いかがでしたか。
全身の毛が抜けてしまう汎発性脱毛症について解説しました。
男性でも女性でも関係なく発症する汎発性脱毛症は、円形脱毛症が重症化した脱毛症でもあります。
最初は小さい円形脱毛症であっても、繰り返しながら徐々に重症していく可能性も否定はできません。
だからこそ、たかが円形脱毛症だと軽視しないで全身に脱毛が及ぶ前に医療機関を受診して早期に治療を行いましょう。